近年、携帯ゲーム、スマホやパソコンなどの普及に伴い、学童期から近視が進行する方が増えてきています。すでに高校生の7割が近視というデータもあります。
そのため、近視進行を抑制する方法はないか?とのお問い合わせを多数いただきます。当院では、近方視に伴う目の緊張を緩和する方法(生活指導、点眼、ワックによる訓練)を実践してはいますが、残念ながら根拠(エビデンス)のある治療、つまり確実に近視進行を抑制する方法はまだありません。
海外(シンガポールや中国等)において、低濃度アトロピン点眼やオルソケラトロジー(ナイトコンタクト)による近視進行抑制の効果についての論文がいくつか出てきていますが、数が少なく、日本人に対するデータでもないため、当院では採用していません。これらの治療は保険適用にはなっておらず、自費になるため、効果が確実ではないのにお金をいただくことはできないからです。少しでも可能性があるなら受けてみたいという方には、近隣に採用医療機関があれば紹介しております(現状では積極的には勧めておりません)。
今後の見通し
ただ、オルソケラトロジーに関しては日本でも少しずつ報告が増えてきていますし、低濃度アトロピン点眼薬については、2015年から日本の7大学の他施設研究(ATOM−J)が始まりました。これは日本の児童を対象としており、さらに二重盲検試験であり、信頼度が高いと考えられます。低濃度アトロピン点眼治療はオルソケラトロジーと異なり、合併症の危険が低いと考えられるため、この結果次第では当院でも採用しようと考えております。2020年末現在、まだ導入予定はありません。よろしくお願いします。